皆さんこんにちは。家具職人の小原です。30歳の時に脱サラしてその後、家具を作って40年経ちます。
今回はクルミの木との思い出について呟きたいと思います。
木の種類を言い当てるのは至難の業
みなさん木の種類を当てるのは、簡単だと思っていませんでしょうか。
実はプロでも当てるのが難しい事が多々あるんです。
銘木屋だって、市場だって、特定できない木を、雑木として市場に流通させるんです。
生えてる木だって似たような木がたくさんあるんで、わからないことが多いんです。
プロでもですよ。実がついていたら流石にわかりますが。
わからない木でも、製材して板にするとだいたいわかるんです。
時に勘に頼る必要があります。ある種の賭けです。私はその賭けに、結構勝ってきました。私は運がいいのです。
私とクルミの話
私はクルミの木が好きです。
クルミは削り出した時は薄い紫がかった茶色をしています。数年すると紫は薄くなり茶色になります。ウォールナットは、同じ種類の木ですが、濃い茶色に紫がかった色になります。
クルミは加工しやすく部屋にクルミの家具があるとスーとなじんで、暖かな感じがします。
最初に出会ったクルミは、市場では雑木と表示されていました。
木材図鑑を一所懸命思いだし、この木はくるみ?クルミなのか?絶対そうでしょ?と自問自答しました。
クルミでなかったら、それはそれで良い勉強、と思い入札しました。
一種の賭けです。
直径40センチほどの木で樹齢70年ほどでした。製材して板にするとクルミはクルミなのですが図鑑や、訓練校で使ったものとは違いました。
薄い茶色で木目も粗いので、クルミをよく扱う銘木屋に聞くと、大きな実を取るために品種改良された菓子胡桃ではないかとアドバイスをもらいました。
林業試験場では、植林されたクルミの様だといわれました。
何はともあれ、こいつは、立派なクルミでした。私は賭けに勝ちました。
私にとって初めてのクルミは、椅子座面の試作に使いました。
製材から一年程しか経たない内にその木を使ったのですが、これが功を奏して縮んだ座面が棒の足を締め付けてくれ、40年たった今もしっかりしています。
グリーンウッドで作る椅子がネットで紹介されているのを見ましたが、グリーンウッド(生木)で作った椅子は、このように生木から乾燥する過程で、ギュッと縮んで、椅子の足を締め付けてくれるから、そういう時に使うといい製法になると、この経験から学びました。
グリーンウッドについて詳しくは、下記のブログみてください。
その後原木市場で天然林のクルミを何本も買いましたが、ハズレはありませんでした。
唯一、外れた時がありました。
通りがかりのお寺の木を伐採している所に出合い、クルミですかと聞いてしまったら、多分そうだろうというので買って製材したらニセアカシアだったことがあります。
それ以降自分から先には木の名前は言いません。相手になんの木ですかと聞いてから、最終的には自分の経験から判断するようにしています。
数多くある樹種を見た目で判断出来るようになるのは至難の技なのです。
木との出会いは一期一会
木との出会いは一期一会です。
木と人との出会いを大切にして、これからも生きていきたいなと思いました。
家具職人のつぶやきでした!