「時を超えて語る、木と対話する木工の旅」


知恵のつまった「古い家具」たち

小原

ハヤマウッドワークスの小原です。ペリさん、今日もよろしくね。

ぺり

先生、今日はどうやって先生が家具作りの勉強をされたのか、教えて欲しいです!苦労話大好きです!

小原

私の昔話なんて聞いてくれるのかい?ありがとう。では、『私の師匠は、古い家具達』というテーマで話していくとするよ。

こんにちは、小原です。私は葉山ウッドワークス、略してハヤスタの職人として、長年木工に取り組んできました。

木と対話することは、私にとって何よりの学びであり、古い家具や道具は、まさに先人の知恵がつまった「師匠」のような存在です。今日は、私がどのようにして木工や修理の技術を学び、ここまで続けてきたのか、その道のりを少しご紹介させてください。


試行錯誤のなかで見つけた「木の知恵」

一人で歩んだ道のり

松本術専門校の木工科で学んだのはたったの1年。そこから独学で木工の世界に飛び込んだ私は、まさに手探りの毎日でした。当時は手本になる知り合いもなく、集めた書物も実用に役立つものばかりではありませんでした。

家の近所に粗大ゴミとして捨てられた家具を見かけると、思わず持ち帰り分解し、どう作られているかを研究したものです。骨董屋さんでは隅から隅まで見回し、興味を惹かれる古い工具や家具を探し出し、使い方や仕立て方を研究する日々を送りました

博物館や、民族資料館、木材の標本館は、触れないので頭のなかで、どうやって作られているか、どんな場所に生えていた木な
のか想像するのが楽しみであり、自分にとって学校の様な存在でした

「壊れた椅子」から学ぶ知恵

壊れた椅子を分解してみると、何が原因で壊れたのかがわかることがあります。

ある日、どうしても外れない「ホゾ(接合部分)」がありました。やむなく切り取って内部を確認すると、木工辞典で見た「地獄ホゾ」という技法が使われていたのです。

仮組みができないこの作りは、職人さんが一発で仕上げるという高度な技術。分解することで、作り手の工夫と知恵を感じました

偽ものから得た反面教師の教え

家具の引き出しに関しても、初めは無垢材かどうかも見分けがつきませんでした。

分解してみると、期待していた無垢材ではなく、ベニヤや集成材で作られていることもしばしば。

巷で大量生産された家具の現実を知り、逆に「自分が作りたい家具とは何か」を考えるきっかけにもなりました。

一方で、伝統的な技法で作られた船箪笥や桐の箪笥を見るたび、技術と丁寧さが生み出す美しさを学ぶことができたのです

押入れ箪笥との出会い

1990年頃、隣町の解体屋さんが、古い押入れ箪笥を修理できるかと相談に来ました。

旧家の押入れに組み込まれていたこの箪笥は、上下ツーピースの大きな布団箪笥で、本体は欅材、引き出し部分は桐でできていました。

分解する際、木を傷めないよう慎重に当て木をしながら、200個近くの部品に分け、傷んだ部分を補修してから再び組み直しました。

この修理を通して、どれだけ時間と手間をかけて作られていたのか、その歴史をひしひしと感じました。この経験を基にして、後に自分で作るクルミ材の台所箪笥のアイデアが生まれたのです。

独自の試行錯誤とアイデア

木工の世界では失敗がつきものです。

大変遠回りをして木工を続けて来ました。

最近はスマホに聞くと、ほとんど何でも答えてくれます。

大変便利てすが、私はそれでも自分で考えて、試してみたいと思うのです。

試作品は失敗の連続で、眠れない夜、朝方まで、ボーッと考えていることが頻繁にありますが、たまに良いアイデアが浮かんだりします。

いや待てよ。それがだめなんだから、こうやったらどうなんだろう、などとひらめく事もありました。

自分でやってみないと分からないと言う性分は、治りそうにありません

ぺり

大変耳が痛いです。猛省します。
すぐスマホに聞いてそのまま実行しようとする私はダメダメです。。
私も自分の頭で考えないとです。。。(が、スマホは捨てられません)😨

小原

私はパソコン、スマホ苦手だから、こうやってやるしかなかったんだ。今は新しいやり方があると思うから、頑張って!


サマリー:木が教えてくれる「修理の大切さ」

長年、家具の修理や製作を続けてきましたが、私の中では古い家具や道具がいつも「先生」であり続けています。葉山ウッドワークスでは、家具を単に作るだけではなく、長く愛されるよう修理やリサイクルにも心を込めています。

ぺり

先生、今でも分解して学んでいるんですか?

小原

そうだね。やっぱり古い家具を見ると、つい『どう作ったんだろう』と考えてしまうんだよ。

ぺり

先生、今でも分解して学んでいるんですか?次はどんな家具が生まれるか、楽しみです!

日々学びを重ね、これからも大切に作り続けていきたいと思います。葉山ウッドワークスは、そんな思いを持って一つひとつの家具と向き合っています。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。