アンゴラから届いた木彫と、修復の時間

こんにちは、ハヤスタの小原です。

今回は少し変わった仕事についてお話ししようと思います。
アフリカ・アンゴラ共和国から届いた、70cmほどの木彫作品の修復を行ったときのことです。

ぺり

アンゴラからってすごい話ですね。どうして小原さんのところに?

小原

大使館で秘書をされている方と以前から面識があって、相談を受けました。これまでにも小さな彫刻やスツールの修復は経験がありましたが、今回は特別なものでした

イベント展示のため来日したアンゴラの国を象徴する動物、パランカ・ネグラ(ジャイアントセーブルアンテロープ)の木彫。搬送中に破損してしまったその作品を、修復するという依頼でした。

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見たこともないものを直すということ

この仕事には、知らない世界に足を踏み入れる緊張感と楽しさがあります。

彫刻の作者も時代も不明。材は赤茶色で散孔材。破断面を観察すると、おそらくアフリカンマホガニーと思われる質感。巨大な木から柾目に縦木取りされた一刀彫。寄せ木ではなく、ひとつながりの木塊から削り出されたもの。つまり、相当に昔のものである可能性が高いと考えられました。

「木を見ること」は、その背景を想像することでもあります。どんな動物か?どんな道具で彫られたか?仕上げ材は何か?
今回はスマホで調べながら、古い文献に頼るより早く素材や形状の手がかりを得られました。

修復は、対話のようなもの

まず、バラバラになった部材を並べ、「どこがどこに戻るか」を丁寧に検討します。
足りないパーツは新たに作る必要があります。

今回は、南米産マホガニーの木材と、イギリス製のエポキシパテを使用。
接着は速乾の接着剤とクランプを使用し、固定できない部分はゴムベルトや手の力で対応しました。

ぺり

指で押さえてるんですか?それ、めちゃくちゃ大変じゃないですか…

小原

そうなんです。でも、指は本当に便利な道具なんですよ。木の微妙な凹凸に合わせて支えられますから

耳先や蹄など、破損が目立つ部分はエポキシで作り出しました。片側が無事なら、それを元に対称になるように形を起こしていきます。

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最後の仕上げ:違和感のない存在感

修復が完了したら、全体を水性の黒い顔料で着色し、油性ウレタンクリアーで仕上げます。

今回は艶あり・艶なしを使い分け、もともとの風合いと違和感のないよう何度も塗り重ねました。

梱包も大事な仕事の一部です。木箱を作り、発泡スチロールと緩衝材で彫刻が動かないように厳重に固定しました。

そして数日後、無事に届いたとの知らせ。

小原

無事に届いて、喜んでいただけたのが何よりです。

家具と彫刻、違いと共通点

家具の修理と違い、彫刻には設計図がありません。
まるで昔の作者と一緒に作業しているような感覚になることがあります。

ただ、共通しているのは「木の声を聞く」こと。
折れた部材をどう生かすか、木目の方向をどう合わせるか。
丁寧な修復は、時間をかけて木と対話する作業でもあります。

こういった経験を重ねることが、自分の仕事の幅を広げてくれるように思います。


まとめ:小さな修復から広がる世界

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今回の仕事は、日常の家具づくりとは違う「一度きりの体験」でした。
でも、どんな仕事にも共通するのは、「目の前の木に、誠実であること」。

ハヤスタでは、彫刻や家具の修理、再生のご相談も承っています。壊れた家具や思い出の品を、また暮らしの中に戻すお手伝いができたら嬉しいです。

さらに現在、ビンテージ家具の再生・販売にも取り組み始めました。廃棄される運命だった家具を、もう一度生き返らせることは、ものづくりの可能性を広げるとともに、SDGsの観点からも価値あることだと感じています。

修理や再生を通じて、少しでも持続可能な暮らしを後押しできればと思っています。

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読んでくださって、ありがとうございました。


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