皆さんこんにちは。家具職人の小原です。30歳の時に脱サラしてその後、家具を作って40年経ちます。
今日は家具作りに一番重要だと思っている木の乾燥について呟きたいと思います。
今まで、生木で作った家具を販売したことはありません。
家具屋になって材木を使え切れないほどストックしているのは、乾燥した木材を使うことが絶対条件だからです。
通常室内で使われる無垢材の建具や家具は、含水率を10%くらいまで下げてから加工します。
日本では大気中の水分は、15%位までしかさがりません。
したがっていくら長い間材木を乾しても、それ以上含水率を下げるには人工的にやらざるをえないのです。
ところが人工乾燥は、リスクも多く、油気が無くなりカサカサした感じになったり、内部に細かいひび割れが生じたり、強乾燥で、製品になってから膨張したりすることがあります。
いくら人工乾燥が合理的とはいえ自然の木を、不自然に劣化することがある状態にしないと作れないのは納得いかないので,私はなるべく天然乾燥でつくるようにしています。
注文の家具があると、使う家が一軒家なのか、マンションなのか、冷暖房を使っているかなどを聞いて、それに近い環境に、使用する木材をしばらく置いてから作るようにしています。
構造的に、昔からある家具を参考にして膨張収縮、ねじれなどを吸収出来るよう、逃げを打ち、組み立てています。
丸太は入手してから、半年して、製材、屋外に桟積みして風に当てて5年、倉庫に立てかけて何年か何十年、工場で狂いどり加工、そしてオーダー家具に加工するために、冷暖房の部屋でシーズニングするのです。
注文を受けてから3ヶ月、半年もかかるのは、仕事が忙しい訳だけではなく、後々のために必要な時間なのです。
家具屋にとって一番大事な仕事は、いかに乾燥した材料を使って数百年は問題がないよう、そして何かあったら分解修理出来るよう工夫して家具を作るか、だと思います。
多くの木が300年もの樹齢の木です。作るのにオーダーを受けてから半年や1年かかっても仕方が無いと思っています。