皆さんこんにちは。家具職人の小原です。30歳の時に脱サラしてその後、家具を作って40年経ちます。
前回、家具作りには大切な乾燥の話をしましたが、今回はその正反対の、グリーンウッドについて呟きたいと思います。
グリーンウッドとは
皆さんグリーンウッドワークという言葉、聞いたことがありますか?
英語でグリーンウッドというのは、『生木』ウッドワークは『木工』です。グリーンウッドワークは生木を使う、木工のことなんです。
生木は、乾燥をさせてない木のことです。その生木を使って作る木工製品のことをグリーンウッドワークと言います。
グリーンウッドブーム到来?
このグリーンウッドワークが、イギリスやアメリカ、スウェーデンでブームが起こっているとのこと。生木でスプーンを作ったり、椅子を作ったりするクラスが人気だそうだ。
日本でもブームが起こっているそうです。
最近グリーンウッドについて木工屋や寄せ木のワークショップなどで話題になるようになりました。
木工教室に来ていたアメリカ人もグリーンウッドでのモノ作りを試したがっていました。
我々がワークショップをやるのには、グリーンウッドを排除すると、仕事の幅を狭める事になりかねません。
最近も木工教室に来る生徒さんも、スプーンなど、グリーンウッドのやりかたで、やりたいという人がたくさんいます。理由は、キャンプやアウトドアでワークショップを開催して、そのへんに生えている木で、作りたいということでした。
個人が、自分の為に作るのなら、売る訳ではないので、思う存分グリーンウッドで木工を楽しめばいいと思います!
家具屋の私は、乾燥を大切にしているため、完全にグリーンウッドを使った製法で家具は作っていませんが、私も木の有効活用を考えた時に、グリーンウッド製法も取り入れていきたいと考えるようになりました。
木の有効活用
知り合いに造園屋がいます。
まだ40代なかばですが、木、石、についてはスペシャリストです。
街中に生えている木の伐採もガンガン行います。
伐採した木の利用価値については、何とか活かせないかと、その造園屋は常に考えています。
戦後に植えられた街路樹のケヤキやいちょうなど街中にたくさん生えているのを見かけますよね。
大きくなり過ぎた木が腐って倒木するなど、ニュースでよく見かけます。
それらの木の再利用が今後大きな問題になってくると思います。
もったいないから、何かに使えないかと、色々な人が考えると思います。
それには、グリーンウッドで作るモノ作りが最適ではないか、と私は思います。
乾燥を何年もかけてやる、などは効率が悪いです。
私は、その知り合いの40代の造園屋からケヤキの丸太を分けてもらい、丸太の有効活用を考えてスツールを作ることにしました。
それが、ケヤキのゴロッとスツールです。
ケヤキのごろっとスツール
スツールのケヤキは、造園屋が数年前に伐採したものをゆずり受けたもので、樹齢60年程の、町中に生えていた木です。
木の素性がとっても良かったのでスツールにしました。
このスツールはケヤキの塊を使いました。グリーウッドの製法では作られていませんが、丸太の厚みがあり、何十年とかかっても完全には乾燥しきれないので、6年くらいは乾燥させましたが、完全に乾き切っていません。
普段作る家具に使う乾燥材のレベルには、及ばない座面の乾燥状態だけど、座面が縮むことによって充分乾燥させた足を締め付け、緩む事が無いようにし、丁寧に作っています。
グリーンウッドの製法を少し取り入れてみた新しい製法で取り組んでみました。
十分な乾燥ができないので、使用には問題のない程度の小さなひび割れができています。
これもこのケヤキが街中で雨風に吹かれて頑張ってきた、生きた証のように私には思えます。
そんな樹を愛でながら、丁寧に掘り出しました。
まとめ
グリーンウッド製法を取り入れた、ケヤキのスツール、普段目にする薄っぺらい座面のスツールを物足りなく感じると思いますよ!
樹の素材をダイレクトに感じられる、スツールを是非楽しんでいただきたいです。
家具職人のつぶやきでした!